政策投資銀法改定案が可決 共産党は反対 宮本岳志議員 融資は中小企業に (しんぶん赤旗)
融資は中小企業や地域経済へ (質問動画)
189-衆-財務金融委員会-8号 平成27年04月10日
平成二十七年四月十日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 古川 禎久君
理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君
理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君
理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君
理事 丸山 穂高君 理事 伊藤 渉君
赤枝 恒雄君 井上 貴博君
井林 辰憲君 大串 正樹君
鬼木 誠君 勝俣 孝明君
小島 敏文君 國場幸之助君
柴山 昌彦君 鈴木 隼人君
田野瀬太道君 津島 淳君
中山 展宏君 根本 幸典君
福田 達夫君 藤丸 敏君
務台 俊介君 宗清 皇一君
大島 敦君 玄葉光一郎君
古川 元久君 鷲尾英一郎君
渡辺 周君 伊東 信久君
吉田 豊史君 岡本 三成君
宮本 岳志君 宮本 徹君
小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
財務副大臣 菅原 一秀君
会計検査院事務総局第五局長 平野 善昭君
政府参考人
(金融庁総務企画局総括審議官) 三井 秀範君
政府参考人
(財務省大臣官房総括審議官) 迫田 英典君
政府参考人
(財務省主税局参事官) 田中 琢二君
政府参考人
(財務省理財局長) 中原 広君
政府参考人
(中小企業庁長官) 北川 慎介君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君
参考人
(株式会社日本政策投資銀行代表取締役副社長) 柳 正憲君
財務金融委員会専門員 関根 弘君
―――――――――――――
委員の異動
四月十日
辞任 補欠選任
竹本 直一君 小島 敏文君
牧島かれん君 赤枝 恒雄君
山田 賢司君 大串 正樹君
前原 誠司君 渡辺 周君
同日
辞任 補欠選任
赤枝 恒雄君 牧島かれん君
大串 正樹君 山田 賢司君
小島 敏文君 竹本 直一君
渡辺 周君 前原 誠司君
―――――――――――――
四月七日
消費税の増税の中止に関する請願(宮本岳志君紹介)(第七七一号)
消費税率を五%に戻し、増税中止を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第七七二号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
――――◇―――――
<高度経済成長期の頃と異なり、大企業向けの政策金融は必要ないと政府も金融業界も財界も認めている>
○古川委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
まず最初に、日本政策投資銀行の基本的性格について、歴史的経緯も踏まえて確認をしたいと思います。
政投銀の前身である日本開発銀行は、一九五一年に、戦後の日本経済の復興、そのための重化学工業などのいわゆる基幹産業の育成、その担い手である大企業へのてこ入れのために設立をされました。産業政策を担う政府系金融機関として、輸出入銀行とともに、産投会計からの出資を受けて、大企業向けに特別有利な条件で豊富な資金を提供してまいりました。
一九九九年の日本政策投資銀行法案の審議の際には、当時の宮沢喜一大蔵大臣が、「開銀そのものが昭和二十六年から果たしてまいりました役割、当然、日本の戦後の産業のビルドアップということでございましたから、勢いそれは重厚長大といったような設備産業等々大企業を中心にした融資であったと思います。」と答弁しております。
このときの法改正の際に、むつ小川原開発、苫小牧東部開発などの破綻処理のために、日本開発銀行が北海道東北開発公庫と合併させられ、日本政策投資銀行が創設されました。
その後、二〇〇一年の財投改革、特殊法人等整理合理化計画、二〇〇二年の政策金融改革を経て、二〇〇五年当時、小泉内閣のもとで政策金融改革の基本方針が決定、この基本方針の内容が翌年提出された行革推進法案に盛り込まれ、政府系金融機関の統廃合や民営化などの具体的内容が法律化され、実施をされました。その結果現在の体制となったというのが、政投銀に関する大まかな政策金融改革の歴史的経緯だと思います。
今日の株式会社日本政策投資銀行は、日本開発銀行と北海道東北開発公庫が合併してできた日本政策投資銀行を引き継いだものでありますけれども、一九九九年に宮沢大蔵大臣が国会答弁をした「勢いそれは重厚長大といったような設備産業等々大企業を中心にした融資であったと思います。」という基本的性格は今日の段階でも変わっていないと思いますが、大臣、よろしいですね。
○麻生国務大臣 短くお答えしろということでしたので。変わっていないと思います。
○宮本(岳)委員 そこで、政投銀の実際の融資について確認をしたいと思います。
二〇一三年度の融資残高について、資本規模別に取引先件数と残高、融資残高の総額のうち資本金百億円以上の企業の残高の占める割合を、これは事務方で結構です、答えていただけますか。
○迫田政府参考人 お答えをいたします。
政投銀による二〇一三年度の取引先件数は合計で二千八百九件、貸出金残高は十三兆九千六百三十億円でございます。そのうち資本金百億円以上の企業につきましては、取引先件数で四百六十件、貸出金残高は十兆二千四百五十八億円。次に、資本金十億円以上百億円未満の企業につきましては、取引先件数は六百三十二件、貸出金残高は一兆二千三百八十八億円。次に、資本金一億円以上十億円未満の企業につきましては、取引先件数が八百十九件、貸出金残高は六千五百四億円。最後に、資本金一億円未満の企業につきましては、取引先件数は八百九十八件、貸出金残高は一兆八千二百八十億円となっておりまして、融資残高の総額のうち資本金百億円以上の企業の残高の占める割合は七三・四%でございます。
○宮本(岳)委員 七三・四%ということでありました。
十六年前、一九九九年四月二十三日の衆議院大蔵委員会で当時の小粥開銀総裁は我が党の矢島恒夫議員に対して、一九九八年三月末時点で融資残高合計が十六兆二千二百六十七億円、そのうち資本金百億円以上の層が十一兆八千二百九十九億円、割合で七三%と答弁しておりますから、資本金百億円以上の企業への融資割合は、十六年前も今も同じ七三%で推移をしております。
そこで聞きますけれども、政投銀について、二〇〇五年の政策金融改革の基本方針では、日本政策投資銀行は政策金融から撤退するとして、完全民営化への道を決めました。その理由を、財務省、説明していただけますか。
○迫田政府参考人 平成十七年の政策金融改革の基本方針では、日本政策投資銀行について、「大企業、中堅企業向け融資であり、国全体として資金不足であった高度成長期とは異なり、民間市場から貸付のみならず、社債や株式等様々な形態で資金の取り入れが可能であり、政策金融として行う必要がなくなっているため、撤退する。」とされております。
○宮本(岳)委員 つまり、資本市場の現状から考慮すれば、大企業向けの政策金融は必要ないという結論でありました。
では、金融業界や財界の認識はどうだったか。
この点について、経済財政諮問会議のワーキンググループで行ったヒアリングというものがありますけれども、ここで、「超長期資金については、金融技術の発達等を背景に、資本市場で代替できるのではないか。諸外国では政策投資銀行のような組織がなくても、超長期のファイナンスが成り立つのに、日本はどうか」という竹中平蔵経済財政政策担当大臣の質問に対し日本証券業協会と経済同友会はどのように回答したか、御答弁いただきたいと思います。
○迫田政府参考人 平成十七年十月二十七日の経済財政諮問会議に提出されました政策金融改革ヒアリングワーキンググループ資料「政策金融改革ヒアリングの概要」は、あくまでワーキンググループの責任において整理したものであり、諮問会議としてまとめたものではないというふうなことは確認されておりますけれども、同資料に基づきまして申し上げますと、「長期資金については、資本市場では二十年債の発行実績もある。スワップ市場の拡大等によっても二十年を超えるものも可能である。」、これは日本証券業協会のコメントでございます。それから、「基本的には長期資金も資本市場で調達可能と考えている。どうしてもできない場合のみ、利子補給あるいは保証という形の支援をすべきである。現在は政策金融機関の長期資金ありきで、先に官を使って、その残り、足らない部分を民でという体制で、考え方が逆ではないか。」、これは経済同友会、というそれぞれのコメントが記載をされているところでございます。
<今回の「方針転換」はリーマンショックとは関係ない>
○宮本(岳)委員 つまり、十年前、二〇〇五年の時点では、既に政府も金融業界も財界も、大企業、中堅企業の長期資金、つまり成長資金は資本市場から調達できるという認識を持っていたということなんですね。
ところが、今回の法案のベースともなった昨年十一月二十日の成長資金の供給促進に関する検討会の中間取りまとめでは、成長資金は不足しているという認識に逆戻りをしております。
この中間取りまとめでは供給不足の要因についてどのように分析したか、これも財務省にお答えいただけますか。
○迫田政府参考人 昨年十一月二十日の成長資金の供給促進に関する検討会の中間取りまとめでございますけれども、成長資金の供給不足の原因として、非常に短く言うと三つ挙げてあります。
一つは、デフレ下における低金利環境、二つ目に、バブル崩壊以前の金融システムにかわる新しい資金供給システムの構築とその担い手の確立がおくれていること、三番目に、企業経営に対するガバナンスの機能不足のため収益力向上の取り組みが不十分であることといったような指摘がされているということでございます。
○宮本(岳)委員 ここで大臣にお伺いするんですけれども、この中間取りまとめの認識は、十年前の二〇〇五年の資本市場の現状認識と全く異なっております。なぜ政府は認識を変えたのか、大臣、御答弁いただけますか。
○麻生国務大臣 それは、世の中、二〇〇八年のリーマン・ショックに始まります一連の流れ、また九七年の金融危機、正確にはアジアにおける通貨危機等々で巨大銀行、最初が北海道拓殖銀行でしたかね、あのときはたしか。ちょっと正確な記憶じゃないけれども、三洋証券、山一が潰れて、翌年に長銀が潰れて、不動産銀行が倒産した。早い話が、あのころの興銀とか東海銀行とかは今何銀行と言っているのか知っている、言える人なんてほとんどいませんよ。ほとんどの銀行は合併しなきゃ生き残れなかったんですからというのが実態だと思うと、えらく世の中が変わったんだと思っております。
状態が二〇〇五年の竹中経済財政担当大臣のころには、民間の自発的な活動を最大限に引き出すという観点から政策金融改革というのが行われたんですが、あの当時は今申し上げたように経済が安定したことははっきりしていますけれども、一九九〇年代後半ぐらいからの経済金融危機から我々は脱出しつつある時期だったと思いますし、あのころ、企業のMアンドAも、ファイナンスなどもえらい活発だったと思います。
しかし、リーマン・ショック、続いて東日本大震災等々のあれを見ますと、やはり日本に限らず世界的に金融が不安定なものになりましたおかげで、民間の金融機関でも思い切ってリスクをとってやっていくというのが難しくなってきたんだと思っておりますので、状況は、二〇〇五年とは著しく変わった状況に置かれたということは確かだと思います。
今回は、そうした状況の変化を受けて、成長資金の供給促進に関する検討会というものの中間取りまとめによって、成長資金の供給が十分でないという現状に合わせて今回の法案の改正というのを提出させていただいております。
○宮本(岳)委員 一九九〇年代の山一とか長銀とかいうのは、二〇〇五年の時点ではもう済んだ後ですから。私は、二〇〇五年の認識ところっと変わっているじゃないかと申し上げたわけですから。リーマンは確かにありました。ただ、中間取りまとめが挙げた三点というのは、直接的にはリーマン・ショックと関係ないんですね。
それで、きょうは、資料一に、昨日参議院予算委員会で我が党の大門実紀史参議院議員が配付した資料をここにも配付しておきました。五大大手銀行グループの合計純利益の推移というものでありますが、一見していただいてわかるように、V字回復いたしまして、リーマン・ショックから完全に立ち直って、二〇一三年度には史上最高益を記録しております。
大臣、二〇〇五年当時と比べても金融業界には長期資金を供給する能力は今や十分にあると示されていると思うんですが、いかがですか。
○麻生国務大臣 これはきのう拝見させていただきましたけれども、長期融資につきましては、二〇一三年度は、三つのメガバンクの貸出金のうち、五年超のものは三割にとどまっておりますのが実情です。五年超の割合は、スリーメガバンクでも三〇%であるのに対して、政投銀は実に五一%になっているというまず実態があります。
政府の成長資金の供給促進に関する検討会におきましては、民間金融機関側から、みずからの長期資金供給には限界がある、また長期資金の受け手である事業者側からは、リーマン・ショックの後に民間金融機関による融資というものが全て短期化されて、長期のものが減って短期化されて、現状、民間金融機関だけでは十分な資金調達ができないということが指摘されたところであります。さらに、融資以外の出資とかメザニンファンド、いわゆる優先株といったものについて、資本性資金については供給が十分でないというのは明快だと。
したがって、現時点では、事業者などの資金需要に対して民間金融機関によります長期資金の供給が十分でないということが今置かれている現状なんだということははっきりしているんじゃないですかね。
○宮本(岳)委員 いや、民間の銀行が三割しか貸さない、政投銀が五一%貸しているというのは、お金はあるのにそういうところにきちっと融資していないということを示しているだけのことなんですね。
大体、大企業は空前の内部留保をため込んでおります。昨年十月二十一日、先ほどの検討会にみずほ総研の高田創常務執行役員チーフエコノミストが提出した資料をきょうは資料二につけておきました。日本企業の財務体質は今や世界一となっております。日本の上場企業は半分近くが実質無借金となり、無借金企業比率では米国を上回る、こう指摘しております。
資料三も同じ高田氏の提出資料でありますけれども、日本企業の内部留保は二〇〇〇年代後半より増加の一途で、今や内部留保総額は、昨日参議院で大臣も口にしておられましたが、三百二十八兆円、名目GDPとの比率で見ても約七割に達しております。つまり、企業の内部留保はたまりにたまっているわけですね。
民間銀行はV字回復して、もはやリーマン・ショック前の利益を上回った、企業自身が三百二十八兆円にも上る史上最高の内部留保を積み上げている、大企業などが資金不足であった高度成長期とは異なり、政策金融として行う必要がなくなったという状況は、何も変わっていないどころか、二〇〇五年以上に明瞭だと私は思いますが、違うんですか。
○麻生国務大臣 これは年に一遍しかやりませんので、おととしの三月、三百四兆円だった大企業の内部留保が、去年の三月で三百二十八兆円、合計二十四兆円増加した。私はもう何回もこれを申し上げたとおりなので、今おっしゃられた数字は確かです。
そう言われた状況にありますのは間違いないんですが、我々として、特定投資業務において供給するというものは融資じゃありません、基本的には。これは、出資や優先株といった資本性の資金なんだと思っております。
こういった資本性の資金というものは、受け手にとりましては、返済の義務がないとは言いませんけれども、融資と違いますので、安定した資金ですので、例えば事業の再編とか、そういった、企業が成長に向けて積極的な取り組みを行っていくときにはこれは一番必要な資金なんだ、私どもそう思っております。
一方で、資金の出し手にとっては思い切ってリスクをとる経営判断というものが必要とされるんですが、現在の日本においてそういった判断というものは、残念ながら、この十数年、二十年近く続きましたデフレーションによる、正確には資産のデフレによる不況の中にあって、そういったことに対応できるようなものではない、私どもはそう思っております。
したがって、企業の資金需要に応えるということになりますと、資本性資金の供給促進につながるという点におきましては、この政策投資銀行、政投銀が集中的に資金供給を行うということは、企業の成長にとって、日本の経済の成長にとって極めて大きな要素だと思っております。
<「内部留保は膨大だが、自分の金をリスクにさらしたくないから、リスクは政策投資銀行からの投融資で背負ってくれ」というのは身勝手すぎる>
○宮本(岳)委員 いろいろ言いますけれども、結局のところ、大企業は内部留保を膨大にため込んで金はある、しかし、その自分の金をリスクにさらしたくない、リスクは政投銀からの投融資で背負ってくれというのが大企業の言い分なのではないかと私は思うんですね。
そもそも政投銀は、株式会社化されても、その資金調達の半分近くが財政投融資によるものであります。そのほかの多くが、国一〇〇%出資の政投銀による財投機関債ということなんですね。
資料四に財務省の提出した資料をつけておきましたが、今回の成長資金を供給するための新ファンド、この原資の半分は国の産業投資特別会計からの出資となっております。
これは財務省に聞きますけれども、仮にこの新ファンドからの出資や融資に大きな損失が出た場合でも、この出資金は必ず全額返ってくるということが保証されておるんですか。
○迫田政府参考人 出資でございますので、あらかじめ全額返還をされるということが保証されているものではないというのは一般論として申し上げてよろしいかと思いますが、要は、リスク管理の問題であろうと思っております。政投銀におきまして、適切なリスク管理等を行いまして、政府出資を毀損することのないように適切に特定投資業務が実施されるものと考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 それは、出資に保証などあるわけないんですね。
我が党は、これまでも当委員会で、破綻したむつ小川原開発、苫小牧東部開発に対する旧北海道東北開発公庫の融資の問題等々を取り上げてまいりました。事実、この融資では、計千九百億円に上る融資の大部分が焦げつき不良債権となり、国民に多大な損失を押しつける結果となりました。
結局のところ、大企業は内部留保を莫大にため込んでいて金がある、民間銀行もリーマン・ショックから立ち直って融資するだけの体力は十分ある、だが自分たちの金はリスクにさらしたくない、そういうリスクは国民からの財投資金に背負わせようということだと思うんですね。
大臣は、大企業に向かって守銭奴というような言葉を投げつけるということもありましたけれども、そもそもこういう大企業や大銀行の身勝手な言い分こそきっぱりはねのけるべきであって、何で、特定投資業務などという仕組みをわざわざつくって、既に資金を持っている大企業や、また融資しようと思えばできるような大銀行をわざわざ優遇してやる必要があるのか。いかがですか、大臣。
○麻生国務大臣 今、迫田が答えたのと基本的に答えは同じなんだと存じますけれども、我々としては、今の状況で、間違いなく、融資をいたします銀行、金融業務の内容が大きく変わってきていることは確かです。
また、先ほどの数字を見ましても急激に回復してきていることは確かですが、やっと税金を払えるところまで来た程度です。これまで税金を払っていませんから。その程度ですよ。間違えないでくださいね。これはずっともうかっていると今のあれだけで見るけれども、その前はずっと税金を払っていないから。これが実態ですから。そういった意味では、やっと回復してきた程度のところなんですよというのが一点。
また、企業として、内部留保を二十四兆円もためたけれども、それでこのままずっといけるのかというと、それに関しては、なかなか、円が安くなったせいじゃないかとか、いろいろなものがありますから、極めて不安定ということになります。
隣の国も何だかいろいろ忙しくなってきた、中近東も忙しい、どこも何とかというと、国際的な安定を見ると、なかなかこれも不安定というようなことを考えれば、また何か起きるかもしれぬ、じっとしているのが最も正しい経営の仕方だと思います。
それがデフレーションによる不況、資産デフレによる不況を長引かせた大きな背景だと思っていますので、今回、はい、変わりました、もう大丈夫ですよと、そんな簡単に気が変わるほど人間は簡単じゃありませんし、俺たちは全体主義をやっているんじゃないから、自由主義の国では、その金を出せなんて強制的に言える立場にはないんです。
だから、そういった意味では、これはしばらく時間がかかりますが、傍ら、今、企業を伸ばしていかないかぬ、経済を成長させていかないかぬ、それで財政を再建するんだ、経済を成長させるんだというと、今要る資本性の資金というのは極めて大きいというタイムラグがありますので、そういった意味では、今というのが一番大事なタイミングなんだとも思っております。
○宮本(岳)委員 呼び水効果とよくおっしゃるわけですけれども、それは、最もリスクの大きい部分は政投銀が担うからつき合ってくれというだけの話なんですよ。
大銀行がこの間税金を払ってこなかったのは、それは損金の繰り越し処理などをやっていただけであって、私たちは、払えるだけのもうけは上がっていたはずだ、それは払うべきだったと考えております。
それでは、本法案で新設される特定投資業務というのはどういうことをやるのか。現在の競争力強化ファンドを引き継ぐ形でやるんですけれども、この競争力強化ファンドの出融資額の現状について、件数と出融資総額を報告していただけますか。
○迫田政府参考人 平成二十七年三月末時点での実績ということで申し上げますが、案件数が十案件、出融資総額は一千二百十三億円でございます。
○宮本(岳)委員 配付資料五の十件というのが、競争力強化ファンドの現状であります。
どれも日本の名立たる大企業が行う事業活動でありまして、ほとんどの企業が、みずからの信用力で資金を民間から調達できる大企業ですよ。しかも、日銀の異次元の金融緩和政策で資本市場には潤沢な資金があふれて、民間金融機関は貸出先を探している状態であります。日銀も成長資金の供給をしており、資金不足が起こるはずがないんですね。
特定投資業務は、先ほども紹介したとおり、産業投資特別会計からの出資によってつくられます。
そこで聞きますけれども、特別会計を律する特別会計法第五十条にはその目的はどう書かれておりますか、財務省。
○中原政府参考人 お答え申し上げます。
特別会計法第五十条には、財政投融資特別会計の目的として、「財政融資資金の運用並びに産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって行う投資に関する経理を明確にすること」と規定されております。
今般御審議いただいております法案に規定されております政投銀の特定投資業務への資金供給は、同五十条後段の投資に該当するものでございまして、五十二条に基づき設置されている投資勘定から出資が予定されるものでございます。
○宮本(岳)委員 今答弁があったとおり、特会法には「産業の開発及び貿易の振興のために国の財政資金をもって行う投資」と定められておりますし、また財政融資資金法第一条には「公共の利益の増進に寄与することを目的とする。」、こう書かれているわけですね。
ところが、資料五にある十の案件には、四番目、DのGraceA株式会社に対する出資、LIXILとの共同出資によるSPCを通じたルクセンブルクの企業への出資という案件も入っております。二十六年九月末の資料を見ますと、これはLIXILの一層の企業価値向上に貢献と書かれておりました。
LIXILという一私企業の企業価値の向上が、我が国の産業の開発や貿易の振興あるいは公共の利益の増進に寄与すると到底思えないんですけれども、大臣、いかがですか。
○迫田政府参考人 お示しいただきました提出資料の五、競争力強化ファンドでございますけれども、これは、国からの財源は産投からの出資ではありませんで、貸し付けでやっているわけでございまして、今までの御議論の流れの延長線上とはちょっと違うのかなというふうに思っております。
○宮本(岳)委員 産投でなくたって、これは財政投融資でしょう。事実関係。
○迫田政府参考人 財政投融資、出資それから貸し付け、両方あるわけでございますけれども、繰り返しになりますけれども、競争力強化ファンドにつきましては、産投からの融資でございまして、出資というわけではないということを申し上げたわけでございます。
○宮本(岳)委員 いや、だから、これは先ほどの特会法そして財政融資資金法第一条に縛られている性格なわけですよ。LIXILの企業価値、一私企業の企業価値を高めるのがなぜそのような目的に合致するのか、それをお答えください。
○中原政府参考人 お答え申し上げます。
特定企業の企業価値云々というところ、私ども当局として直接関与していないところでございますけれども、いずれにしても、政投銀の行う事業が産投を含む財政投融資特別会計の目的、すなわち「産業の開発及び貿易の振興のために」というところに該当するという判断のもとに当該融資を行っているところでございます。
なお、産投貸し付けにつきましては、先ほど言及がございました財政融資資金法に直接規定されるものではないということでございます。
○宮本(岳)委員 時間が来ましたから終わりますけれども、二十五年三月のファンド立ち上げ以来、二十六年九月末現在で九件、千百九十億円という時点の財務省提出資料には、LIXILが水栓金具のグローバルリーディングカンパニーであるルクセンブルク・Grohe社を買収するために設立した特別目的会社に対して共同出資、Grohe社の総合的なブランド力活用によるLIXILの一層の企業価値の向上に貢献とちゃんと活字で書いているじゃありませんか。このようなものに国民の財投を投入するということは直ちにやめるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。