公共スポーツ施設削減策転換を (動画あり)
施設削減策転換を スポーツ庁法案可決 宮本議員が指摘 衆院委全会一致 (しんぶん赤旗)
189-衆-文部科学委員会-5号 平成27年04月17日
平成二十七年四月十七日(金曜日)
午前九時二分開議
出席委員
委員長 福井 照君
理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君
理事 冨岡 勉君 理事 萩生田光一君
理事 義家 弘介君 理事 郡 和子君
理事 牧 義夫君 理事 浮島 智子君
青山 周平君 穴見 陽一君
安藤 裕君 今枝宗一郎君
尾身 朝子君 大見 正君
門山 宏哲君 金子万寿夫君
神山 佐市君 木村 弥生君
熊田 裕通君 小林 史明君
櫻田 義孝君 白須賀貴樹君
瀬戸 隆一君 谷川 とむ君
中山 展宏君 馳 浩君
鳩山 邦夫君 古川 康君
古田 圭一君 前田 一男君
宮川 典子君 宮崎 謙介君
宗清 皇一君 山田 賢司君
山本ともひろ君 菊田真紀子君
中川 正春君 平野 博文君
松本 剛明君 本村賢太郎君
笠 浩史君 坂本祐之輔君
鈴木 義弘君 初鹿 明博君
中野 洋昌君 吉田 宣弘君
大平 喜信君 畑野 君枝君
宮本 岳志君 吉川 元君
…………………………………
文部科学大臣 下村 博文君
文部科学副大臣 丹羽 秀樹君
文部科学大臣政務官 山本ともひろ君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
文部科学委員会専門員 行平 克也君
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委員の異動
四月十七日
辞任 補欠選任
尾身 朝子君 宗清 皇一君
工藤 彰三君 瀬戸 隆一君
小林 史明君 宮崎 謙介君
船田 元君 穴見 陽一君
前田 一男君 山田 賢司君
笠 浩史君 本村賢太郎君
畑野 君枝君 宮本 岳志君
同日
辞任 補欠選任
穴見 陽一君 中山 展宏君
瀬戸 隆一君 熊田 裕通君
宮崎 謙介君 白須賀貴樹君
宗清 皇一君 木村 弥生君
山田 賢司君 金子万寿夫君
本村賢太郎君 笠 浩史君
宮本 岳志君 畑野 君枝君
同日
辞任 補欠選任
金子万寿夫君 前田 一男君
木村 弥生君 尾身 朝子君
熊田 裕通君 今枝宗一郎君
白須賀貴樹君 小林 史明君
中山 展宏君 船田 元君
同日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 工藤 彰三君
―――――――――――――
四月十七日
平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案(内閣提出第一五号)
平成三十一年ラグビーワールドカップ大会特別措置法案(内閣提出第一六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
文部科学省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
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<誰もがスポーツを享受する権利、スポーツ権の実現に努めることがスポーツ行政のありかた>
○福井委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
文部科学省設置法一部改正案、いわゆるスポーツ庁法案について質問いたします。
スポーツ庁の設置については、私も法案提案者の一人として国会に提出し、二〇一一年に可決、成立したスポーツ基本法の附則第二条に、政府は、スポーツに関する施策を推進するため、スポーツ庁及びスポーツに関する審議会等の設置等行政組織のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると定められました。
本法案はこれを受けて提出されたものでありますけれども、そもそもこのスポーツ基本法は、前文で「スポーツは、世界共通の人類の文化である。」と高らかに宣言するとともに、「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のもの」である、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利であり、全ての国民がその自発性の下に、各々の関心、適性等に応じて、安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、又はスポーツを支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならない。」と規定しております。
この背景には、もちろん、ユネスコが一九七八年十一月二十一日の第二十回総会で採択した体育・スポーツ国際憲章や、日本国憲法十三条が国民に保障する幸福追求権、二十五条が定めた生存権があるということは言うまでもないと思うんです。
そこでまず大臣に確認をしたいんですが、国のスポーツ行政は、ユネスコ国際憲章、日本国憲法、スポーツ基本法にある、誰もがスポーツを享受する権利、スポーツ権の実現に努めることであり、スポーツ庁が実現すべき最も重要な課題は当然その実現にあると私は考えますけれども、大臣、よろしいでしょうか。
○下村国務大臣 御指摘のように、スポーツ基本法の前文においては、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」であると宣言しており、スポーツを国民の権利として捉えられているわけであります。
文科省としては、スポーツ基本法のこの理念にのっとって、全ての人が生涯にわたってその関心や適性等に応じてスポーツに親しむことのできる社会を実現することが重要であると考えておりまして、このため、地域におけるスポーツ環境の整備等に取り組んでいきたいと考えております。
○宮本(岳)委員 確認されたように、スポーツ基本法前文の精神というものは非常に高邁でありますけれども、このスポーツ権を保障するためには、誰もがスポーツができる環境、条件整備が不可欠であります。
そこでこれは久保局長に聞くんですけれども、先ほどのユネスコ国際憲章の第五条の一と二には、施設や設備について何と規定されておりますか。
○久保政府参考人 ユネスコ「体育およびスポーツに関する国際憲章」第五条では、施設設備につきまして、「学校内および学校外双方の体育・スポーツに関係するプログラムへの密度濃くかつ安全な参加というニーズに合致するように、適切で十分な施設が供給され、設置されなければならない。」「あらゆる段階の政府、公当局、学校および適当な私的機関は、協力し、ともに計画して、体育・スポーツの施設、設備、用具を提供し、最適な条件で利用できるようにする義務がある。」と規定されております。
○宮本(岳)委員 第一、第二はそう書いてあるんですが、冒頭、「十分な施設と設備は体育・スポーツに不可欠である。」これは条文であります。
スポーツ権を名実ともに実現するためには、まさに、適切で十分な施設が供給され、設置されなければなりません。また、それは国や地方公共団体の義務でもあると思うんです。
だからこそ、スポーツ基本法は第十二条で、「国及び地方公共団体は、」「スポーツ施設の整備、利用者の需要に応じたスポーツ施設の運用の改善、スポーツ施設への指導者等の配置やその他必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」と定めるとともに、安全の確保、あるいは障害者等の利便性の向上、これについても定めております。
大臣に改めて確認しますが、スポーツ庁はこの中心的な役割を担うべきだと私は思いますけれども、これも大臣、よろしいでしょうか。
○下村国務大臣 国民の誰もがスポーツに親しむことができるよう、地域のスポーツ環境を整備することは重要であると考えます。
地域のスポーツ施設の整備については、文科省において、水泳プール、体育館、屋外運動場などの新改築等に対する国庫補助を行うとともに、独立行政法人日本スポーツ振興センターのスポーツ振興くじ助成においても、地域スポーツクラブのクラブハウスの整備やグラウンドの芝生化等、支援をしております。
また、地域スポーツの振興のためには指導者が重要であることから、文科省において、スポーツ指導者の質の向上のため、育成カリキュラムの作成などに取り組んでいるところであります。
さらに、スポーツ施設の安全の確保や障害者等の利便性の向上についても、重要な課題として取り組む必要があると考えます。
スポーツ施設の充実は、地域スポーツの振興、ひいては地域社会の活性化にもつながるものでありまして、スポーツ庁においてスポーツ立国の実現に向けた環境の整備、一層強力に進めてまいりたいと思います。
<スポーツ施設は年々減り続けている>
○宮本(岳)委員 さまざまなことをやっていただいているという御答弁でありますけれども、では、スポーツ施設の現状がどうなっているか。具体的に少しきょうは御質問を申し上げたいと思うんです。
それで、これは局長で御答弁結構ですけれども、文科省の体育・スポーツ施設現況調査によりますと、直近の平成二十年でスポーツ施設は全国でどれだけあるか。箇所数です。それから、十二年前、平成八年の調査、これではどれだけの箇所数だったか。局長、お答えいただけますか。
○久保政府参考人 スポーツ施設、平成二十年度時点の調査では、全国で二十二万二千五百三十三カ所でございました。十二年前の平成八年時点では二十五万八千二十六カ所でございました。
○宮本(岳)委員 十二年間、実は減っているんです。差し引きいたしますと三万五千以上、十二年間で一四%、スポーツ施設というのは全国で減っている。ですから、毎年、スポーツ施設は三千カ所ずつ消えていっているというのが、この調査結果の数字の示すところだと思います。
これは学校も民間も公共施設も全て入った数字でありまして、先ほど局長がお答えいただいた体育・スポーツ施設現況調査の、これは大体六年に一回やるものでありますけれども、平成二十年、平成十四年、平成八年、その数字をきょうは資料で皆様方のお手元にお配りをいたしました。
資料を見ていただきたい。「公共スポーツ施設」という欄を見ていただきますと、この十二年間に、六万五千五百二十八カ所から五万三千七百三十二カ所に一万二千カ所も減っております。十二年間に一万二千ですから、毎年一千カ所ずつ公共スポーツ施設というものは消えていっているというのがこの間の状況です。
ここで聞くんですけれども、この同じ調査で、一九九六年と二〇〇八年、これを比較して、公共スポーツ施設のうち、体育館、運動広場、プール、テニス場、野球場がそれぞれどれだけ減少したか。これも局長、お答えいただけますか。
○久保政府参考人 二〇〇八年、平成二十年と一九九六年、平成八年を比べまして、体育館につきましては七百四十六カ所、運動広場については八百六十九カ所、水泳プールにつきましては千百四十八カ所、テニス場、庭球場につきましては千七百六十三カ所、野球場・ソフト場につきましては千百七十七カ所、いずれも減少しております。
○宮本(岳)委員 今御答弁にあったように、この十二年の間に、体育館も、運動広場も、プールも、テニス場も、野球場も、激減しているわけです。
もう一度先ほどの資料を見ていただきますと、学校体育・スポーツ施設というものも、十五万二千八十三カ所から十三万六千二百七十六カ所に一万六千近く減っております。これは学校統廃合の影響だと思うんです。これがスポーツ施設の実は実態なんです、現実なんですよ。
大臣、これではスポーツ基本法十二条に逆行する事態と言わざるを得ないと私は思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○下村国務大臣 御指摘のとおりで、これは深刻な数字として受けとめる必要があるというふうに思います。
しかし、その背景としては、一つは、やはり少子化の進行が非常に進んでいる。それからもう一つは、地方の厳しい財政状況もあるということが考えられます。
国民が身近にスポーツに親しむことができるようにするためには、それぞれの地域でスポーツ施設の整備や利便性の改善、指導者の育成などを図ることが重要であります。各地方公共団体においても、地域の実情に応じ、住民がスポーツに親しむことができる環境を確保できるよう、工夫、努力をしていただきたいと思います。
文科省、スポーツ庁において、今後とも、地域におけるスポーツ施設の整備等に対する支援を、設置をしていただければさらに努力をしてまいりたいと思います。
平成二十七年度には、体育・スポーツ施設に関する調査研究を実施することとしております。その結果も踏まえまして、スポーツ施設の整備に関する指針の作成等、施策を進めてまいりたいと考えます。
○宮本(岳)委員 スポーツ基本法の十二条にはきちっと規定されているわけですから、引き続き努力するのは当然なんですけれども、では、今は地域スポーツの現場ではこういうもとでどういうことが起こっているか。きょうは一例を紹介したいと思うんです。
例えば香川県では、高松市内にある県立体育館が昨年九月末に閉鎖をいたしまして、ついに県内には県立体育館が一つもないという事態になりました。この体育館は、世界的建築家丹下健三氏の設計で、船のようなユニークなデザインで親しまれてまいりました。しかし、築五十年と老朽化が進み、三年前には、天井落下のおそれから、耐震補強工事が必要となりました。香川県は改修を決め、一昨年から昨年にかけて入札をすること三回、しかし、資材の高騰、人手不足から、当初五億八千万円だった改修費を十億円にまで引き上げても応札業者がなく、とうとう改修を断念し、閉館となりました。
県がスポーツ施設から撤退したのはこれだけではありません。一九五〇年代につくられ老朽化が著しかった県立屋島陸上競技場は、改修を高松市と押しつけ合った末に、二〇〇八年に市に移譲。県立体育館も、今の体育館以外にほかに二カ所ありましたが、観音寺市の体育館は老朽化のため閉館、もう一つは東かがわ市に移管して、ついに県立体育館はゼロになったということなんです。
香川県バスケットボール協会の幹部は、県の体育館が一つもないのは異常な事態だと憤り、県体協も、体育館が減って、各競技でどう割り振るか頭が痛い。深刻なのは、子供たちの大会参加が大きく減っていることだ。会場がどうしても住んでいる地域から遠くなってしまうからだ。こう語っております。
スポーツ関係者の強い要望を受けて、ついにこの三月、県は新しい体育館建設の検討を始めたと。まだ検討が始まったばかりで、建設すると決まったわけじゃないんですけれども。
これは局長にお伺いします。香川県のこういう実態を承知しているか、また、検討が始まったわけでありますけれども、新しい体育館を建設するとなれば国の支援にはどのような支援があるか、お答えいただけますか。
○久保政府参考人 この香川県の体育館の事例につきましては、新聞にも出ましたし、我々は心配しながら見ておりました。新しい方向が動き始めたことは喜ばしいと思っております。
文部科学省といたしましては、公立体育館等の社会体育施設の新築、改築あるいは耐震化を行う事業に対する国庫補助制度を持っておりますので、そういった制度を活用しながら、香川県も含めて、地方公共団体が整備される際に支援を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○宮本(岳)委員 ぜひしっかりと応えていただきたいと思うんですが、スポーツ施設の多くは、前回の東京オリンピックの時期、一九六〇年代の高度成長期に建てられたものなんです。それから四、五十年が過ぎ、多くの施設が建てかえ時期を迎えております。しかし、地方自治体では、先ほど大臣が御答弁になったように、財政難を理由に施設を廃止するところが多いんです。
大阪では、二重行政の廃止などと言って、大阪府立体育館と大阪市立中央体育館を統合しようとしております。神奈川県は、財源不足解消を理由に、スポーツ施設約二十カ所を含む県有施設の原則全廃を打ち出しました。施策をまとめたこの有識者会議というものを、私も議事録を含めて見せていただきましたけれども、中を読みますと、藤沢市の体育センターなどをやり玉に上げて、九百万人の県民からいけば利用者は多くて三十万人、納税者から見ると不公平だとか、毎年三億九千万円県民負担しているのだからやめるんだと、言いたい放題なわけですよ。
大臣、スポーツ基本法第四条には、地方公共団体は、スポーツ基本法の基本理念にのっとり、「スポーツに関する施策に関し、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」こう定めたわけですけれども、これに照らしても、こういう状況は地方公共団体の責務の放棄と言われても仕方ない状況ではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○久保政府参考人 スポーツ基本法では、まさに、国のみならず地方公共団体も、このスポーツをする国民の権利をさらに進めるための努力義務として、いろいろな施設の整備をすることが規定されているわけでございまして、これは、国のみならず、地方もあわせてオールジャパンで進めていく重要な事項だと私どもも思っておりますので、その点で、さまざまな面での自治体の動きを督促していくというのも国の役割だと考えているところでございます。
<総務省はスポーツ施設も含む公共施設を減らせと地方自治体に「お願い」していた。>
○宮本(岳)委員 そこで、国はやる気なのだが、地方に不理解があるといった問題なのかどうかということを私は次に問いたいんです。
きょうは総務省に来ていただいております。総務省は現在、地方自治体に公共施設等総合管理計画の策定を求めております。この取り組みは一体どのようなものですか。
○橋本政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体におきましては、過去に建設された公共施設等がこれから大量に更新時期を迎える一方で、財政は依然として厳しい状況にございます。また、人口減少等により、今後の公共施設等の利用需要が変化していくことが見込まれるほか、市町村合併を行った団体の中には、合併後の施設全体の最適化を図る必要性が生じている地域もございます。
こうした状況を踏まえまして、各地方公共団体においては、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的視点に立って公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行うことが重要となっております。
総務省といたしましては、公共施設等総合管理計画の策定を地方公共団体に要請しているところでございます。
以上です。
○宮本(岳)委員 昨年四月二十二日付で「公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針」というものが出されております。
この指針を見ると、「総合管理計画策定にあたっての留意事項」として、十年から三十年の長期のスパンで見て、今後人口が減るのだから、どれくらいの行政サービスが必要かを見直せ、民間で代替可能性はないのか留意せよ、PPP、PFIの積極的な活用を検討せよ、市区町村を超えた広域的な集約、集中も検討せよとなっております。そして、その計画に基づいて公共施設を廃止したら地方債の充当を認めるとか、公共施設の集約化、複合化をすれば、合計した床面積が減る場合にのみ公共施設最適化事業債を認め、地方財政措置で優遇する、こういうメニューがずらずらと並んでいるわけです。
総務省、公共スポーツ施設が毎年千カ所ずつ消えていっている背景には、国がこういう計画を地方に強制して、廃止や集約化をやらせているからではありませんか。
○橋本政府参考人 公共施設等総合管理計画の策定につきましては、昨年四月二十二日に、総務大臣通知により、各地方公共団体に対し策定要請を行い、あわせて、計画策定に当たっての指針を示しております。
これらはあくまで地方自治法第二百四十五条の四第一項に基づく技術的な助言ということでございまして、地方公共団体に計画策定を強制するものではございません。あくまでも地方団体が自主的に御判断いただく事項、このようにしております。
○宮本(岳)委員 強制していない、こう言うわけですね。では、もう一度聞きましょう、総務省に。
公共施設等総合管理計画策定取り組み状況は、昨年十月一日現在で、平成二十八年度までに策定予定は、都道府県、指定都市、市区町村で何%になっておりますか。
○橋本政府参考人 総務省が行いました調査結果によれば、平成二十六年十月一日現在で、平成二十八年度までに公共施設等総合管理計画の策定を完了する予定の団体の割合は、都道府県及び指定都市で一〇〇%、市区町村で九八・〇%というふうになっております。
今、四月一日現在の調査を行って、その結果も今取りまとめ中でございまして、近々公表する予定にしております。
○宮本(岳)委員 強制ではないと言うんですが、都道府県、指定都市の一〇〇%、市区町村の九八・〇%が二十八年度までに策定する。その先ほどの調査結果で計画策定予定なしと答えたのは、市区町村で六自治体、わずか〇・三%にすぎません。
しかし、地方自治体に求められているのは、こんな公共スポーツ施設を潰したり減らしたりする計画ばかりではないんです。
我々がつくったスポーツ基本法は、その第十条で、都道府県及び市区町村は、国のスポーツ基本計画を参酌して、地方スポーツ推進計画を定めるよう努めることが定められております。こちらの方は、住民が身近にスポーツに親しむことができるように、スポーツ施設の整備、スポーツ施設の運用の改善、スポーツ施設への指導者の配置等の計画を定めるものであります。
では文部科学省に聞きますけれども、市区町村のスポーツ政策に係る計画の策定状況は、平成二十四年四月時点で何%になっておりますか。
○久保政府参考人 地方スポーツ推進計画の策定状況でございますけれども、二十四年四月時点での状況につきまして、策定し改定を検討中が一七・一%、策定し改定は未検討が一一%、合わせて二八%です。策定していないが策定を検討中は一六%、策定しておらず、策定も未検討が五四・一%、その他、無回答が一・七%となっております。
○宮本(岳)委員 半分以上は、計画もなければ策定する予定もないとなっているんです。先ほどの総務省の計画と大違いじゃありませんか。総務省の公共スポーツ施設の廃止縮小計画は、依頼だと言いながら、ほぼ一〇〇%の自治体がつくられようとしている。
スポーツ基本法の条文に努力義務まで我々が書き込んで進めようというスポーツの地方推進計画は、法制定から三年もたつのに遅々として進まない。毎年千カ所ずつ公共スポーツ施設が消えていくのも当然だと言わなければなりません。
別に、総務省に悪意があると言うつもりはないんです。総務省のやっていることと文部科学省のやろうとしていることが全く逆向きになっているんです。本来、こういうことをなくすためにこそスポーツ庁というものが必要なのではないか。
総務省が地方行財政改革という視野のみで公共施設の廃止縮小、集約化という方向を打ち出しても、スポーツ施策に関しては、スポーツ基本法の基本理念や立法趣旨をちゃんと踏まえてくださいよとはっきり物を言う。そうでなければ、スポーツに関する施策を総合的に推進するため、文部科学省の外局としてスポーツ庁を設置すると言っても、絵に描いた餅にすぎないと思います。
最後に、この点についての大臣の御決意を伺って、私の質問を終わりたいと思うんです。
○下村国務大臣 これは宮本委員のおっしゃるとおりだと思います。
ですから、総務省についても、逆というよりは、これからスポーツ庁が設置することによって、これからの日本の将来をどう考えるかということにおける他省庁における政策転換も、やはり求めていく必要があるのではないかと思います。
特にスポーツ庁においては、関係省庁の司令塔的な機能を果たしてスポーツ行政をリードする、幅広い省庁の知見を得つつも、スポーツによる健康増進、地域活性化、国際的地位の向上など、スポーツ基本法に掲げるスポーツ立国の実現に向けて取り組む必要があると思います。
特に、我が国の医療費総額が年間で約四十兆円を上回っているという中で、運動で抑制できる医療費が全体の約七・七%という調査もある。つまり三・二兆円ぐらい、スポーツによって逆に言えば医療費の軽減、抑制にもつながるという部分でありますし、同時に、国民の健康寿命が平均寿命に限りなく近づくという、幸福な人生を過ごすという意味で、今後、スポーツ庁の果たす役割は大変大きなものがあると思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○宮本(岳)委員 ありがとうございました。終わります。