大阪都構想について (動画)
大阪都構想 府立と市立それぞれの役割 特別区税収は市の4分の1 “二度と大阪市に戻れない” 宮本岳議員に政府答弁 地方創生特別委 (しんぶん赤旗)
189-衆-地方創生に関する特別委員会-5号 平成27年05月15日
平成二十七年五月十五日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 鳩山 邦夫君
理事 佐藤ゆかり君 理事 新藤 義孝君
理事 谷川 弥一君 理事 寺田 稔君
理事 福田 昭夫君 理事 小熊 慎司君
理事 石田 祝稔君
井上 貴博君 伊藤 達也君
池田 道孝君 大岡 敏孝君
大野敬太郎君 加藤 寛治君
勝俣 孝明君 黄川田仁志君
小泉進次郎君 新谷 正義君
瀬戸 隆一君 田中 英之君
武村 展英君 谷川 とむ君
とかしきなおみ君 中谷 真一君
野中 厚君 平井たくや君
福田 達夫君 宮川 典子君
山田 賢司君 義家 弘介君
緒方林太郎君 奥野総一郎君
吉良 州司君 佐々木隆博君
寺田 学君 木内 孝胤君
篠原 豪君 村岡 敏英君
稲津 久君 濱村 進君
田村 貴昭君 宮本 岳志君
…………………………………
国務大臣
(地方創生担当)
(国家戦略特別区域担当) 石破 茂君
総務副大臣 二之湯 智君
文部科学副大臣 丹羽 秀樹君
農林水産副大臣 あべ 俊子君
国土交通副大臣 西村 明宏君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
総務大臣政務官 あかま二郎君
防衛大臣政務官 原田 憲治君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進室次長) 満田 誉君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室長) 内田 要君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 若井 英二君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 長屋 聡君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 時澤 忠君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君
政府参考人
(総務省自治税務局長) 平嶋 彰英君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 徳田 正一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 義本 博司君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 小松親次郎君
政府参考人
(文部科学省スポーツ・青少年局長) 久保 公人君
政府参考人
(水産庁長官) 本川 一善君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 木村 陽一君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 佐藤 悦緒君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 丸山 進君
政府参考人
(国土交通省自動車局長) 田端 浩君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君
衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長 畠山 裕子君
―――――――――――――
委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 武村 展英君
加藤 寛治君 池田 道孝君
平口 洋君 新谷 正義君
山田 賢司君 瀬戸 隆一君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 加藤 寛治君
新谷 正義君 平口 洋君
瀬戸 隆一君 山田 賢司君
武村 展英君 大岡 敏孝君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)
地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)
国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)
――――◇―――――
<大阪市大と府大などはそれぞれに異なった意味があり、橋下市長・維新の言う「二重行政のムダ」は存在しない>
○鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
いよいよきょうから、地方創生三法案、地方分権一括法案、地域再生法改正案及び国家戦略特区改正案の審議が始まりました。
きょうは、地方分権にかかわって、今最もホットな話題であります大阪市における住民投票について質問したいと思います。
石破大臣は、三月二十七日の当委員会で、自民党のとかしき議員が大阪都構想について、目的と手段を取り違えている、統治機構を変えれば全部がバラ色になる、そんなことは絶対あり得ない、こう指摘したのに対して、「手段さえ手に入れれば全部うまくいくんだというような、そういうような錯覚に陥ってはならない」と御答弁されました。
まず確認いたしますが、この認識は変わっておられませんね。
○石破国務大臣 全く変わっておりません。
○宮本(岳)委員 しかし、橋下氏と大阪維新の会は、大阪都で大阪の未来はバラ色と、何もかもうまくいくような、そういうことをおっしゃっております。二重行政の無駄をなくせば年間四千億円の財源が生まれると一方的に説明をされております。
まず、大阪府と大阪市の間に二重行政の無駄というものがそもそも存在するのかという問題であります。
きょうは、資料一に大阪維新の会のビラをつけておきました。二重行政解消のための改革として、大阪市民病院と府立病院の統合、大阪市立大学と大阪府立大学の統合等々が掲げられております。
そこで、きょうは文部科学省に来ていただいておりますけれども、まず確認いたしますが、大阪市立大学と大阪府立大学は、それぞれ独自の歴史と伝統、役割を持ち、大阪で重要な役割を果たしてきたと私は思います。文部科学省は、そのどちらか一方が無駄だと考えておられますか。
○義本政府参考人 お答えいたします。
公立大学は、制度上、地方自治体が設置する及び管理するものでございまして、その存在意義につきましては、設置する地方自治体が主体的に判断するものと考えておるところでございます。
御指摘のように、大阪府内には、大阪市が設置する大阪市立大学と、大阪府が設置する大阪府立大学の二つの公立大学がございますけれども、両大学は、それぞれの機能、特色、歴史的な経緯を踏まえて多様な教育研究活動を展開しているものと認識しておるところでございます。
○宮本(岳)委員 当然です。
全国に都道府県立大学と政令市立大学の両方を持っている県は、大阪以外に、北海道、神奈川、愛知、京都、兵庫、広島、福岡と七道府県あります。愛知や京都は府県立二大学、政令市立一大学、福岡に至っては県立三大学、政令市立一大学、合計四大学存在しております。
重ねて聞きますけれども、大阪市以外から、これらの大学が二重、三重行政であり、無駄だという声が上がっている事実がありますか。
○義本政府参考人 お答えいたします。
文部科学省に対して、同一県内に複数の設置主体による公立大学について、二重行政というふうな御指摘をいただいているところはございません。
○宮本(岳)委員 一つもないということであります。当然であります。大体、大学が無駄だという議論がどこにあるかと言わなければなりません。
東京では首都大学東京一つではないかというわけですけれども、東京は条件が全く違います。
重ねて文科省に聞きますけれども、東京に国立大学は何大学ありますか。
○義本政府参考人 お答えいたします。
東京都内に設置されている国立大学は十二大学ございます。
○宮本(岳)委員 首都であるからこそ、東京には国立大学が十二大学も存在いたします。大阪には大阪大学と大阪教育大学、たった二つなんですね。
次に、図書館についても、大阪維新の会は、大阪府立図書館と大阪市立図書館が二重行政だ、こうおっしゃっております。
しかし、この二つが隣り合って建っているというのであればともかく、それぞれ別の場所に建てられております。市立図書館のうち最大規模のものは大阪市立中央図書館でありますけれども、これは大阪市西区に、大阪府立図書館はもともと北区中之島にありましたが、今は大部分が東大阪市、こちらに移っておりまして、大阪市外に移転をいたしました。
これも文部科学省に確認をいたしますが、図書館が住民の身近に数多くあるということは、もちろん、先ほどの答弁のとおり、自治体が判断するものではありましょうけれども、文部科学省として、生涯学習推進上よいことだと私は思いますけれども、いかがですか。
○徳田政府参考人 お答えいたします。
図書館は、国民の教育と文化の発展に寄与することを目的としておりまして、図書館の設置や運営のあり方については、社会教育のための機関として住民に対して適切な図書館サービスを行うことができるよう、それぞれの地方公共団体によって地方の実情に応じて判断されるべきものと考えております。
○宮本(岳)委員 ここに、東京の図書館の資料をいただいてまいりましたけれども、東京都は中央図書館と多摩図書館、都が二つの図書館を持っております。区が持っている図書館に至っては膨大な数があるわけで、もちろん、図書館の数というのは、住民の身近に、大いに役立つものが必要なわけですね。
次に、スポーツ施設を聞きましょう。
先日、スポーツ庁の設置法案の質疑でも私は指摘をしましたが、大阪維新の会の皆さんは、府立難波体育館と大阪市立中央体育館が二重行政である、こう主張されております。
しかし、この二つの施設は、府立体育館は主にプロスポーツの利用が多く、市立中央体育館はアマチュアスポーツのメッカとして役割を果たしてきました。これを一つにまとめてしまいましたら、大相撲大阪場所の間は体育館が使えないということになってしまいます。
質疑でもただしましたけれども、これらのスポーツ施設は、スポーツ基本法の立法趣旨に照らしても、決して無駄ではありませんね。
○久保政府参考人 スポーツ基本法におきましては、国及び地方公共団体は、国民が身近にスポーツに親しむことができるようにするとともに、競技水準の向上を図ることができるよう、スポーツ施設の整備等、必要な施策を講ずるように努めなければならないとされておりまして、この趣旨を踏まえて、大阪府及び大阪市におきましても、地域の実情に応じて住民がスポーツに親しむことができる環境を確保する観点から整備に取り組んでおられるものと考えております。
○宮本(岳)委員 それぞれに独自の役割があるわけですね。
次に、二重行政を排除するという名目で、大阪府と大阪市の信用保証協会が統合されました。府内事業所の四六%が集まる大阪市が独自に信用保証業務を行う意義は小さくなかったと私は思います。
全国には、神奈川県と横浜市、川崎市であるとか、愛知県と名古屋市など、県と政令市の両方が信用保証協会を置いている例はほかにもあります。これらはそれぞれに重要な役割を果たしていると私は思いますけれども、中小企業庁、いかがですか。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
信用保証協会は、各地域の発意などにより、信用保証協会法に基づく手続を経ることで設立することができます。実際に、各地の信用保証協会は、地元の地方自治体関係者や商工関係団体等が中心となって設立されております。
御指摘いただきました四つの市の信用保証協会につきましても、神奈川県に二つ、横浜、川崎、それと愛知の名古屋市、あと岐阜県にございますが、昭和二十年の前半に県の信用保証協会に先駆けて設置されたという経緯がございます。
各地の信用保証協会は、現在も、地方自治体や地元の地域金融機関との緊密な連携をしながら、独自の取り組みとして、みずからも事業者への経営支援に取り組んでいるというふうに承知をしております。
○宮本(岳)委員 独自の意義を持って仕事しているということでありました。
大学、図書館、体育館、信用保証協会、大阪維新の会の皆さんが二重行政の無駄と主張されているものは、ことごとく二重でもなければ決して無駄でもないということが明らかになりました。
結局、唯一残ったものは、大阪市が建設した旧WTCビルと大阪府が建設したりんくうゲートタワービルという二つの超高層ビルの失敗だけであります。
しかし、これは二重行政の失敗ではありません。バブル型の無駄な大規模公共事業の典型であって、だからこそ、我が党は当初から、そのどちらにも反対をしてきたわけであります。この二つのビルは、二つあるから無駄なのではなくて、たとえ一本だけでも無駄遣いだと私たちは言ってまいりました。今では、これを推進してきた党派の皆さんも、維新が言う旧WTCとりんくうゲートタワービルの失敗は、二重行政によるものではなく政策の誤りによるものだと認めておられます。
ところが、維新の会は、資料二につけましたけれども、維新プレスという出版物で、「これまで市役所のムダ遣いを許してきたのは、自民党、民主党、公明党、共産党です。」などと書き、事もあろうに、我が党までこの二つのビルの建設に賛成したかのような事実無根の宣伝を行っております。
このビラは、もう一つ注意していただきたいのは、安倍内閣の与党である自民党や公明党を今申し上げたように攻撃しながら、下には、安倍首相の一月二十七日の本会議答弁を引いて、「政府はしっかりと都構想をバックアップしてくれます。」と書いてあります。
石破大臣、こういう主張を政府はバックアップするんですか。
○石破国務大臣 総理が申しておりますのは、住民投票で賛成多数となればということを総理は申し上げております。これは、あくまで住民の皆様方がお決めになるものなのであって、大阪の住民の方々が地域の主権者として権利を行使されて、そうなったとすればということを総理は申し上げたわけでございます。
これは、私も総理じゃないのでわかりませんが、「政府として必要な手続きは進めると答弁。」そこまでですから、そこまでは間違いない事実であって、そこから先のお話は、大阪維新の会が総理の意向をそんたくしてお書きになったのではないかと推測をいたします。
<住民投票で賛成が上回っても、一般市よりも権限が弱く、地方交付税交付金も受け取れない五つの「特別区」が出来るだけ>
○宮本(岳)委員 はっきり申し上げて、徹頭徹尾事実をねじ曲げて、逆に、反対する自民、公明、民主、共産、全ての党に対して、反対派の情報は全てうそ、こう吹聴して今住民投票をやっている。
では、どちらがうそか、一つ一つこれから確認をしたいと思います。
今回の住民投票は大阪都をつくるものではありません。大都市地域特別区設置法に基づいて、政令市である大阪市を廃止して、五つの新たな特別区を設置することを問うものであります。
高市総務大臣も、先日五月十二日、参議院総務委員会での答弁で、これによって大阪府という名称が変更されるものではないこと、この住民投票で賛成派が多数となった場合、大阪市は廃止されると明確に答弁されました。
これは総務省の副大臣にお伺いしますが、この答弁は事実ですね。
○あかま大臣政務官 お答えいたします。
五月十二日、参議院総務委員会で高市総務大臣が答弁したとおりでございます。
○宮本(岳)委員 ところが、資料三につけました、「大阪に、大きなチカラを。」と題された大阪維新の会のビラを見ていただきたいんです。
協定書が住民投票で賛同されれば、矢印をして、「大阪都になる」と、まるでそれだけで大阪都が実現するかのように書いてございます。また、「五つの特別区ができる」と書いてはありますけれども、大阪市が廃止される、このことには一切触れていないわけですね。
これは、総務省に聞きますけれども、住民投票の説明としては極めて不正確ではありませんか。
○時澤政府参考人 お答えを申し上げます。
総務省といたしましては、国に提出されました協議書につきまして同意を与えるべく、その中身について詳細に判断をしたところでございますけれども、その後の広報等につきましてコメントする立場にはございませんので、コメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○宮本(岳)委員 いやいや、しかし、このビラは冒頭に「速報!」として、「総務大臣から、大阪都構想の設計図の内容について問題なしとの意見が出されました!」こう書いてありますから、あたかも総務大臣がお墨つきを与えたかのような表現になっております。このことについては、先ほど答弁があったように、先日の参議院総務委員会でも高市総務大臣御自身が明確に否定をされました。
しかし、そういう説明のもとで、大阪都詳細設計図が住民投票で賛同されれば大阪都になるのだとこのビラは書いているんですが、これは不正確な説明だということでいいですね。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
大都市地域特別区設置法第十条におきまして、同法に基づき道府県に特別区が設置された場合、法令の適用につきましてはその道府県を都とみなすとされておりますが、同法には、道府県の名称については特段の規定は盛り込まれておりませんで、仮に、同法に基づきまして大阪府に特別区が設置されることとなった場合におきましても、大阪府という名称が変更されるものではございません。
○宮本(岳)委員 極めて不適切な説明だと思うんですね。
今、維新の会の皆さんは、五つの特別区というものは東京二十三区を上回る権限を持つ一般市以上の自治体です、こういう宣伝をされております。果たしてそうか。
これも総務省に確認をいたします。
普通、一般市であれば、行う事務のうち、今回の協定書に特別区がやらないと定めているものがあると思うんですけれども、それは何ですか。
○時澤政府参考人 大阪府・大阪市特別区設置協議会が策定いたしました特別区設置協定書によりますと、通常、市区町村が処理する事務でございますが、都道府県が処理することとし特別区が処理しないこととした事務といたしまして、下水道の整備、管理に関する事務、用途地域等に係る都市計画の決定に関する事務、消防、救急に関する事務が挙げられるところでございます。
○宮本(岳)委員 当然、一般市ならば行う事務のうち、特別区にはできない、やらない事務は厳然としてこうして存在するわけですね。到底一般市以上などと言えないことは明らかだと思います。
今、大阪維新の会の人たちは、私たちが大阪市を廃止して五つの特別区に分割したら税収が四分の一に減ってしまうと指摘していることについても、全部うそだと言っております。財政調整交付金の話を持ち出すわけですけれども、調整交付金は税収とはいいません。
正確を期するために確認をしますけれども、平成二十五年度決算で、大阪市の税収は市町村税の合計で幾らか。仮に、大阪市を廃止して五つの特別区にした場合、特別区が直接徴収することになる市町村民税は、平成二十五年度決算額から計算すれば幾らになるか。そして、それは現状、大阪市である場合の何%になるか。自治税務局からお答えいただけますか。
○平嶋政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、平成二十五年度決算額で、大阪市の市税収入は約六千四百十一億円となってございます。
今回の、もしなった場合にどうなるかというのは、それぞれ、その後にどういう超過課税をするかとかもございますので断定的には申し上げられませんが、現行の都の特例でいきますと、特別区財政調整交付金の対象となる普通税である法人の市町村民税、固定資産税、特別土地保有税を都は特別区の存する区域において課するものとするとされておりまして、また、目的税である事業所税、都市計画税を課することができるとされております。
これを今、現行のまま分割されるといたしますと、都区財政調整交付金の対象である普通税で約三千九百二十四億円、目的税で七百九十億円となります。よって、現在の大阪市の税収のうち特別区の税収となるものは約千六百八十九億円、その税収に対する割合は約二六・三%となるところでございます。
○宮本(岳)委員 約二六・三%、四分の一になるということですね。税収で論じるならば、紛れもなくそういう数になる。これはまさに事実が確認されました。
残りの四分の三は大阪府が徴収し、財政調整交付金として特別区に戻すというわけですけれども、これとて全額ではありません。
さらに、大阪が東京と単純に比較できないのは、東京都は地方交付税の不交付団体であるのに対して、大阪は、大阪府も大阪市も交付団体であるということですね。
普通地方交付税の交付額は、平成二十六年度で、大阪府に二千七百四十五億円、大阪市には三百五十七億円、国から直接交付されております。これが五つの特別区になったら、この大阪市に交付されている三百五十七億円の地方交付税は、国から五つの特別区に直接入るということになりますか。
○橋本政府参考人 お答えいたします。
大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づきまして、特別区を包括する道府県は、地方自治法を初め法令の適用上、都とみなされることになります。
御質問の地方交付税の取り扱いですが、地方交付税法の規定によりまして、特別区を包括する道府県及び特別区に係る基準財政需要額と基準財政収入額を合算して算定する制度、これは現行の都区合算制度と言っておりますが、これが適用されまして、この合算して算定された交付税は、当該道府県、今回では大阪府に一括して交付されることになります。
なお、地方自治法におきましては、都と特別区及び特別区相互間の財源の均衡化を図る観点から、特別区財政調整交付金制度が設けられており、この制度も適用されることになると承知をしております。
以上です。
<一度特別区にしてしまうと元には戻せない>
○宮本(岳)委員 一般市はもちろん、どんなに小さな村でも、地方自治体というものは、国から地方交付税交付金を直接受け取る権限を持っております。しかし、特別区になればそれすらない。まさに、一般市以下の半人前の自治体だと言わなければなりません。
先日の参議院総務委員会の質疑で、高市総務大臣は、一旦大阪市を廃止して特別区をつくってしまったら、後で、失敗だった、もう一回政令市に戻りたいといっても、今の法律上ではできないということでよいかと問われて、そういうことになりますと明確に答弁いたしました。
ところが、これについて大阪維新の会は、資料四につけましたけれども、自身のホームページで、地方自治法二百八十一条四の規定を根拠に、特別区の廃置分合が可能とされていますので、特別区を市に戻すことや政令指定都市になることは可能だと主張しております。
しかし、地方自治法二百八十一条四の規定は、特別区同士の合併や境界線変更のことを定めているのであって、特別区が一般市や政令指定都市になることを可能にした条文ではないと私は考えますが、自治行政局の答弁を求めたいと思います。
○時澤政府参考人 地方自治法二百八十一条の四の規定でございますが、これは、市町村の廃置分合を伴わない特別区の廃置分合等の手続を規定したものでございまして、特別区を廃止し、その区域に新たに市町村を設置する手続を規定したものではございません。
○宮本(岳)委員 改めて、重ねて確認しますけれども、現状で、東京二十三区も含めて特別区というものが一般市や政令指定都市になる、そういう道、方法は法律上存在するんですか。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
現行法上、特別区を廃止し、その区域に新たに市町村を設置する手続は設けられておりませんで、大都市地域特別区設置法に基づき特別区を設置した後に、特別区が市町村に戻ることはできないことでございます。
○宮本(岳)委員 法律がないんですね。やりようがないんです。一方通行なんです。特別区というのは、つくれば最後、その先の法的な規定はないわけですね。
ですから、あさって投票で問われていることというのは、これだけ重大なことだということを申し上げなくてはなりません。後戻りできないと私たちが言うのに対しても、これは全部うそだという宣伝が大阪ではやられておりますよ。
では、この二度ともとには戻れない大阪市廃止住民投票が賛成多数で可決されて、五つの特別区が設置された場合、その後に、大阪市に隣接する、例えば堺市や吹田市や八尾市などが分割せずに丸ごと新たな特別区になろうということになった場合、今回のような住民投票は必要でしょうか。
○時澤政府参考人 大都市地域特別区設置法によりまして特別区を設置した後に、追加的な特別区の設置により従来の市町村の区域が分割されない場合につきましては、同法十三条二項の規定によりまして、道府県に特別区を設置する手続のうち、住民投票を実施することは求められておりません。
○宮本(岳)委員 実は、あさっての投票は大阪市民だけが投票するんですけれども、これは大阪市だけの問題じゃないんですね。これで特別区となった場合には、その他の町では、今度は、丸ごと特別区に後で合流しようというときには、もう住民投票すら必要ないという法の仕組みになっているわけです。
しかし、堺は大きいから分割せずに丸ごとということはなかろうと言うかもしれませんが、いいですか。丸ごと特別区になった後、この丸ごと特別区になった特別区を二つ三つに分けるという場合は、先ほどの地方自治法二百八十一条四の規定によって、まさに廃置分合ですよ、後からならば分けられるわけですから。つまり、あさっての投票で、大阪全体にとって他の町も他人事と言っておれないことが決められようとしている、これが私は実態だと思うんですね。
こういうものについて、本当に大阪全体の人たちに知らされているのか、ましてや、大阪市民に対して正確な情報が提供されているのかという点では極めて疑問が残ると私は思うんです。
最後に、きょうのこの審議を聞いていただいて、石破大臣、どういう御感想をお持ちかをお伺いして、私の質問を終わりたいと思うんです。
○石破国務大臣 感想を述べる立場でもないのですが、委員が御指摘のように、投票ですから、どうも選挙のような色彩もないではない。だから、デフォルメしたようなお話があるのかもしれない。今、委員と政府参考人とのお話を聞いていても、このビラとのそごというのがある。では、そこをどのようにしてきちんと判断材料として正確なものを提供するのかということは、極めて重要なことだと思っております。
私はどっちがいいとか悪いとか言うつもりは全くありませんで、それは住民の方々がお決めになるものですが、少なくとも、正確な情報に基づいて御判断をいただくということがなければ、住民投票というものがその意味をなさないのではないだろうか。正確な情報に基づいて御判断をいただくということは、主権者に対して実際に投票を行う立場のものが果たすべき義務なのであって、これがまだ、きょう、あすとあるわけでございます。正確な情報に基づいて住民の方々の判断がなされるということが何よりも肝要だというふうに感じた次第でございます。
○宮本(岳)委員 まさに正確な情報が必要だ。極めて恣意的な情報を振りまいて、反対派の言うことは全てうそだ、デマだと決めつけて、二度ともとには戻れない大阪市廃止、解体の片道切符を大阪市民に売りつけることは断じて認められないということを申し上げて、私の質問を終わります。