「国民の財産危険」年金株運用増やすな (質問動画)
年金株運用増やすな 宮本岳志氏「国民の財産危険」 (しんぶん赤旗記事)
189-衆-財務金融委員会-9号 平成27年04月24日
平成二十七年四月二十四日(金曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 古川 禎久君
理事 神田 憲次君 理事 土屋 正忠君
理事 藤井比早之君 理事 御法川信英君
理事 山田 美樹君 理事 鈴木 克昌君
理事 丸山 穂高君 理事 伊藤 渉君
井上 貴博君 井林 辰憲君
鬼木 誠君 勝俣 孝明君
國場幸之助君 柴山 昌彦君
鈴木 隼人君 田野瀬太道君
津島 淳君 中山 展宏君
根本 幸典君 福田 達夫君
藤丸 敏君 牧島かれん君
務台 俊介君 宗清 皇一君
山田 賢司君 大島 敦君
玄葉光一郎君 古川 元久君
前原 誠司君 鷲尾英一郎君
伊東 信久君 吉田 豊史君
斉藤 鉄夫君 宮本 岳志君
宮本 徹君 小泉 龍司君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 麻生 太郎君
内閣府副大臣 赤澤 亮正君
財務副大臣 菅原 一秀君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君
政府参考人
(金融庁総務企画局長) 池田 唯一君
政府参考人
(金融庁監督局長) 森 信親君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 金子 修君
政府参考人
(財務省国際局長) 浅川 雅嗣君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 山崎 伸彦君
参考人
(日本銀行総裁) 黒田 東彦君
財務金融委員会専門員 関根 弘君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
金融に関する件(破綻金融機関の処理のために講じた措置の内容等に関する報告)
財政及び金融に関する件
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<国民の財産である年金積立金を株価対策に使う安倍内閣>
○古川委員長 次に、宮本岳志君。
○宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。
きょうは、日本銀行の異次元の金融緩和政策と、GPIF等、公的年金の資金運用問題について質問をいたします。
最初に、年金積立金の運用について聞きます。
GPIF運用委員長の米沢康博早稲田大学大学院ファイナンス研究科の教授は、昨年十二月に、不動産証券化協会のARES年金フォーラムの集会で、GPIFの運用方針の変更について基調講演を行いました。「今回のポートフォリオの変更にあたっては、まず、国内債券を可能な限り減らしたいというのが第一の命題でした。なぜ減らしたいかというと、デフレ経済を脱却し、政策としてもインフレを目標にしているためです。インフレが生じれば、多少のタイムラグはあるとしても金利の上昇が想定されるため、金利上昇リスクを一番恐れたというのが実際のところです。」と語っております。
つまり、ポートフォリオ変更の第一の目的について、政府のデフレ脱却、インフレ政策により金利上昇が起こるので、リスクを恐れて国内債券を減らすことだと語っているわけでありますが、これは厚生労働省、政府も共有する認識でありますか。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の基本ポートフォリオの見直しは、新しい財政検証等を踏まえ、GPIFにおいて、経済、金融等の学識経験者から成る運用委員会の意見を踏まえ、資金運用に関し一般的に認められている専門的な知見に基づき、慎重に検討を重ね、実施されたものでございます。
具体的には、現在の基本ポートフォリオは、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済、運用環境の変化に即し、国内債券だけでは実質的な年金給付を確保することが困難となるという想定のもと、被保険者の利益のために最適な運用について専門家に検討していただき、策定されたものでございまして、その結果、これまでよりも国内債券比率が下がり、株式比率が上がったものと承知いたしております。
○宮本(岳)委員 その検討を行った専門家、まさにGPIF運用委員長がそう語ったわけですからね。
去る三月十三日、当委員会において、私の質問に対し西村副大臣は、GPIFの資産運用方針の変更は、デフレ環境からインフレの環境へと変わってくる、我々はそれを目指して今政策を推進しておりますので、したがって、債券として持ち続けるよりも、成長してインフレに応じて投資をしていくという答弁を行いました。これは、政府もデフレからインフレになることを前提として運用方針の変更を行ったという説明であります。
しかしながら、なぜ、政府の政策に左右されず客観的な市場予測により決められるべき年金資金の運用方針が、政府の目標であるデフレ経済の脱却の成功を前提とするものになっているのか。デフレを脱却してインフレになるかどうかは、まだ未知だと言わなければなりません。
実際、二年前に黒田日銀総裁が異次元の金融緩和政策を打ち出した際には、二%の物価安定目標を、二年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するというのが公約でありました。
しかし、二年後の現在、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースで見ればゼロ%程度ということであります。黒田総裁も、二〇一五年度を中心とする期間に二%程度に達する可能性が高いと、大幅に下方修正をしております。
つまり、インフレも起こらず金利も上昇していないというのが今の現状、既に運用方針のこの前提条件は崩れていると言えるのではありませんか。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
年金積立金の管理運用は、厚生年金保険法等により、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うこととされておりまして、基本ポートフォリオにつきましても、GPIFにおいて、基本的には五年に一度の財政検証に合わせて見直すこととされております。
この基本ポートフォリオ策定に関する経済前提につきましては、専門家により慎重に検討する必要があり、昨年の財政検証に用いた年金財政における経済前提については、経済、金融等の専門家から成る社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金のあり方に関する専門委員会において、マクロ経済に関する長期の試算を踏まえ、また幅の広い経済前提にも対応できるものとして検討を重ねて示されたものでございまして、昨年三月に専門家により妥当な前提が設定されたものと理解しているところでございます。
また、現在の基本ポートフォリオは、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済、運用環境の変化に即し、新しい財政検証等を踏まえ、GPIFにおいて、経済、金融等の学識経験者から成る運用委員会の意見を踏まえ、長期的な観点から検討され、昨年十月末に見直されたものでございます。
なお、GPIFは中期計画に、市場動向を踏まえた適切なリスク管理等を行い、定期的に基本ポートフォリオの検証を行うほか、策定時に想定した運用環境が現実から乖離している等必要があると認める場合には見直しの検討を行うと定めておりまして、長期的な観点から、策定時に想定した運用環境から現実の運用環境が乖離している等必要があると認める場合には、GPIFにより基本ポートフォリオの見直しが行われるものと承知いたしております。
○宮本(岳)委員 各専門家において検討した、そういう答弁ばかりが続くんですが。
今、出ましたね、社会保障審議会年金部会でも検討したと。それで、これは三月十八日付のブルームバーグですけれども、ここにこういう報道がありました。
昨年三月、今回のポートフォリオの変更の前提となる年金財政検証に用いられた経済指標、経済前提条件が公表されたときに、社会保障審議会年金部会の委員でもある日本総研の西沢和彦氏は、その決定過程について、GPIFの運用目標は経済的に理論的に導かれた結論というより政策判断だ、リスク資産での運用拡大を求める圧力もあり、それが市場で材料視される中での判断だったと指摘し、安倍晋三内閣はGPIFを株価対策の道具と見ている印象だとはっきり語っております。
安倍内閣が日本再興戦略にGPIFの変更を盛り込んだのは、GPIFを株価対策の道具と見ているということではないか。これは小泉政務官にはっきりお答えいただきたいと思います。
○小泉大臣政務官 宮本先生御指摘のとおり、日本再興戦略、これは昨年六月ですけれども、この改訂二〇一四において、GPIFの運用について、デフレからの脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済、運用環境の変化に即し、年金財政の長期的な健全性を確保するため、適切な見直しを行うものとされています。
運用の改革は、国民年金法そして厚生年金保険法の中で、運用の目的に書いてあるとおり、被保険者の利益のために行うものとされていますが、同時に、こうした運用が結果的に成長への投資、ひいては日本経済に貢献して、経済の好循環実現につながることも期待をされていますので、成長戦略の一環として位置づけられている次第です。
<リーマン・ショックのような事態だけではなく、円高になるでも国民の財産は大打撃を受ける>
○宮本(岳)委員 前回も、全く同じ答弁を西村副大臣から聞いたわけですよ。しかし、社会保障審議会年金部会の委員でさえ、安倍内閣はGPIFを株価対策の道具と見ているとまで語っているわけですから、これは言い逃れできるものではないと思うんですね。
国民にとってさらに理解できないのは、金利上昇リスクを恐れて国内債券を減らし、国内株式や外国債券、外国株式の比率を拡大することであります。前回の質疑でも、株の比率が高まったらその分だけ危なくなるじゃないかというのは正しいと麻生大臣も御答弁になりました。
当然、リーマン・ショックのような事態となれば、多額の損失が出る可能性があります。為替が円高に揺り戻れば、四〇%を外国債券と外国株式で運用しているんですから、少しの円高でも多額の損失が発生するのではないか。国債の保有よりリスクは高くなるんじゃありませんか、厚生労働省。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
年金積立金の運用につきましては、将来の安定的な年金給付に向けて、デフレ脱却後の経済、運用環境に対応し、年金財政上必要な利回りを最低限のリスクで確保することが必要でございます。
また、年金積立金の運用は、単年度の振れ幅、標準偏差のみを見て判断すべきではなく、年金積立金の性格に即し、長期的な観点から評価すべきものでございます。リスクにはいろいろなものがございまして、多面的かつ長期的な観点で考える必要があるわけでございますが、将来の年金給付をしっかり確保するためには、年金財政上必要とされる積立金額を下回るリスクをできる限り抑制することが重要でございます。
今回の変更後の基本ポートフォリオは、デフレ脱却、適度なインフレ環境への移行など長期的な経済、運用環境の変化に即し、株式等への分散投資を進めたものでございます。その結果、単年度の収益率の振れ幅は大きくなりましたが、年金財政上必要な積立金を下回るリスクは小さくなったものと理解しているところでございます。
なお、変更後のポートフォリオで、リーマン・ショックを含む過去十年間、平成十六年度から二十五年度まででございますが、運用したと仮定いたしますと、従来のポートフォリオよりそれぞれの年度の収益の振れ幅は大きくなるものの、この十年間を平均いたしますと名目の運用利回りは四・三%という計算になるということでございまして、これを従前のポートフォリオで同じ計算をいたしますと三・二%ということで、一・一%、新しいポートフォリオの方が高くなる計算になるということでございます。
また、仮に、この十年間、全額国内債券で運用した場合の収益率を計算いたしてみますと、一・八六%ということで、大幅に下回るという結果になるということでございます。
○宮本(岳)委員 つまり、債券中心の運用では期待される運用利回りが確保できないから、リスクが高いがリターンが大きい資産運用の比率を高める、それだけのことなんですね。
それで、三月十三日の質疑でも確認をいたしましたが、自主運用を開始した二〇〇一年度から二〇一三年度までの平均収益率は二・七%でありました。これは名目賃金上昇率を三・一六%上回っております。運用目標を上回ってきたわけであります。
現在は金利上昇は起こっていないんですね。インフレ目標も達成していないわけですよ。だから、いつ上昇するかわからない金利上昇を前提にして、利回りが不足するから株式や外債などのリスクの高い資産で運用するというようなことは本末転倒だと言わなければなりません。
五年に一度、年金財政検証をするんですから、実際に金利上昇などの影響が確認できてから資産運用の見直しをするべきじゃないですか。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
年金積立金の運用は、厚生年金保険法等に基づき、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に行うこととされておりまして、GPIFの基本ポートフォリオにおきましても、中期目標等に基づき、資産の管理及び運用に関し一般に認められている専門的な知見並びに内外の経済動向を考慮して、長期的な観点から設定することとされております。
このため、物価や金利につきましても、長期的な経済、運用環境の見通しを踏まえて設定することが必要でございまして、物価や金利の時々の動きに応じて基本ポートフォリオを見直すのは適切ではなく、今回の基本ポートフォリオの見直しについても、そのような認識のもと、GPIFにおいて、被保険者の利益のために最適な運用について専門家に検討していただき、策定されたものと承知しているところでございます。
○宮本(岳)委員 では、最適かどうかをこれから議論しましょう。
GPIFは、ことし三月二十六日に、投資原則、行動規範というものを決めて、公表しております。どうしてこの時期に公表したのか。また、これはどういうものですか。
○山崎政府参考人 お尋ねの投資原則は、運用委員会のガバナンス会議において昨年の十月以来検討いたしまして、GPIFが年金積立金の管理運用体制を強固なものとし、説明責任を果たしつつ、国民の皆様からさらなる信頼を得ていくために、三月二十六日、新たな中期計画期間に入るのに先駆けまして、運用委員会から理事長に建議されたものでございます。
この原則を実行するために、GPIFは、その組織をさらに整備し、国民の皆様の負託に全力でお応えしていくことといたしております。
○宮本(岳)委員 さらなる信頼を国民から得るために定めたと。
「年金積立金管理運用独立行政法人の投資原則についてのご説明」という文書が同時についております。その中には、「株価対策や経済対策のために年金積立金を利用することは絶対にありません。GPIFは、専ら被保険者の利益のために運用することを誓います。」とわざわざ書かれております。
ここで言う株価対策あるいは経済対策とはどういう意味ですか。
○山崎政府参考人 御指摘の投資原則の御説明は、「株価対策や経済対策のために年金積立金を利用することは絶対にありません。GPIFは、専ら被保険者の利益のために運用することを誓います。」としておりまして、年金積立金は専ら被保険者の利益のために運用し、他事考慮をしないという原則をわかりやすく述べたものでございます。
ここで挙げております株価対策や経済対策といたしましては、例えば株価維持のためや経済政策のために積立金を利用することというようなことが考えられるところでございます。
○宮本(岳)委員 しかし、日本再興戦略には、GPIFの資産運用が成長戦略の一環と位置づけられております。
先ほど、小泉内閣府政務官も、こうした運用が結果的には成長への投資、ひいては日本経済に貢献し、経済の好循環実現につながるということも期待されているという御答弁でありました。
まさに経済対策そのものではありませんか、厚生労働省。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
年金積立金の管理運用は、繰り返しになりますが、法律に基づきまして、専ら被保険者の利益のために安全かつ効率的に行うこととされており、被保険者の利益以外の他事考慮をすることは法律で禁止されております。改訂日本再興戦略におきましても、運用の改革は専ら被保険者の利益のために行うものとされているところでございます。
一方、同じ改訂日本再興戦略では、こうした専ら被保険者の利益のために行う運用が結果的に成長への投資、ひいては日本経済に貢献し、経済の好循環実現にもつながるとしておりまして、専ら被保険者のための運用と日本経済への貢献は両立するものとしているところでございます。
○宮本(岳)委員 そういう言い逃れをしても、大体、市場はとっくに見抜いているわけですよ。日経平均が再び二万円を超えたことを報じる四月二十二日付日経夕刊は、日銀の追加緩和期待が金融株や不動産株の買いにつながっていると報じるとともに、東京市場は海外勢の積極的な買いが目立つ一方、下がった場面では年金基金や公的マネーなど長期保有する投資家が買い支える構図だと指摘をしております。
各経済誌の特集も、日銀、GPIFが買ってくる、アベノミクス本当の勝ち組銘柄。あるいは、鯨GPIF、日銀ETFの賞味期限。これは東洋経済ですね。エコノミストでも、GPIFの株買いはいつまで続くなどの見出しが躍っております。
株式投資の雑誌でも、GPIFなどの公的年金資金の運用が投資家に注目をされております。日経マネー六月号は、株価が下がれば年金積立金管理運用独立行政法人などの買いが入るため、下値は一万八千円前後と限定的かと書いておりますし、ネットマネー六月号は、異次元緩和拡大と地銀、GPIFの買いでJ―REIT相場は急上昇と見出しを打ちまして、J―REITのインデックスである東京REIT指数は日銀が昨年十月三十一日、量的・質的金融緩和、いわゆる異次元緩和を拡大した途端に急上昇、これに加えてGPIFや共済年金、かんぽ生命、ゆうちょ銀行などいわゆる官製機関投資家の膨大なマネーもJ―REIT市場に流入している、こうした多方面からの需要の急拡大が相場を大きく押し上げたのだと書いてありまして、その特集などは、今狙い目のJ―REIT銘柄ベスト三十、これを買えという話になっているわけですよ。
日銀の異次元緩和とGPIFなどの公的マネーが株価を押し上げている、まさに株価対策、官製相場だというのはもはや世間の常識ではありませんか、厚生労働省。
○山崎政府参考人 繰り返しとなりますが、年金積立金は、法律に基づきまして、被保険者の利益のために安全かつ効率的に行うものとされているところでございまして、今回の運用の改革も専ら被保険者の利益のために行うものでございます。
その運用が結果的に日本経済に貢献するということはあろうかと存じますけれども、専ら被保険者のための運用と日本経済への貢献は両立するということを繰り返させていただきます。
○宮本(岳)委員 私が参議院議員時代に、当時の郵政省を相手に行った議論を思い出しました。郵貯・簡保資金による指定単取引についての質疑であります。
二〇〇〇年五月十八日の参議院財政・金融委員会で、私は、郵政省が一九九二年に行った郵貯・簡保資金による指定単の運用の増額が当時の経済対策閣僚会議で決定された総合経済対策に盛り込まれていたことを指摘して、株価の買い支えでないとしたら、なぜ指定単の増額が経済対策と言えるのかとただしました。
当時の簡易保険局長の答弁は、あなた方とうり二つですよ。あくまで加入者及び預金者の利益を目的としたものだが、このことが結果として金融資本市場への資金の流入を通じて経済の活性化に資する面もあったと理解しているというものでありました。それに対して私が、理解できない、政府の経済対策というのは、何か別の目的を持ってやったことがたまたまそういう結果になったものを寄せ集めて経済対策と呼んでいるのか、こうただしますと、横で聞いていた当時の宮沢喜一大蔵大臣は大声を上げて笑いました。
麻生大臣、平成の高橋是清はこれを笑うだけの見識をお持ちでありましたが、大臣はこの話をおかしいとは思われませんか。
○麻生国務大臣 私は宮沢さんほど財政に詳しいと思ったこともありませんので、私は常識的に、先ほどの答えは正しいと思っております。
<まさに官製相場であり、それを支えるのが日銀の緩和マネーだ。このような目的のために国民の財産である年金を市場リスクや為替リスクにさらすのは許せない>
○宮本(岳)委員 そういうことで国の財政運営をやっていると、とんでもないということは申し上げておきたいと思うんですね。
では、次に、市場へのインパクトについて確認をしたい。
GPIFについて資産の金額を確認したいんですが、二〇一四年十二月末の運用資産額は百三十七兆円とされております。基本ポートフォリオに収れんするとして、単純な計算をすると、今後、約何兆円の国内債券が売却され、株式の購入余力、外国債券の購入余力、外国株式の購入余力は何兆円になりますか、厚生労働省。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
御通告いただきました数字といたしましては、二十六年十二月末の運用資産額と資産構成割合に基づきまして、仮に資産構成割合が基本ポートフォリオと同じだった場合、機械的に計算すると資産額はどのように変わるのかということで御通告を頂戴いたしておりまして、二十六年十二月末の運用資産額でございますが、先生が配付いただきました資料で百三十七兆円、こちらがGPIFの運用資産額でございます。このほかに特別会計で資金繰りのために持っております積立金が若干ございまして、合わせまして百三十八・一五兆円というのが積立金全体の総額でございます。
これにつきまして、実際の運用資産額につきましては、まず、国内債券が約五十九・六兆円、国内株式が二十七・四兆円、外国債券が十八・二兆円、外国株式が二十七・一兆円、短期資産が約五・九兆円となっておるところでございます。
一方で、平成二十六年十二月末の年金積立金全体の資産額で、お尋ねのとおり、仮に資産構成割合が基本ポートフォリオと同じだったとして機械的に試算いたしますと、国内債券が約四十八・四兆円、国内株式が約三十四・五兆円、外国債券が約二十・七兆円、外国株式が約三十四・五兆円という数字になるというところでございます。
○宮本(岳)委員 いや、質問に答えていないんですよ。そんなことは聞いていない。どれだけ売却することになるか、変動することになるかを私は聞いたんですよ。
○山崎政府参考人 今申し上げました数字それぞれについての差額を機械的にはじきますと、まず、国内債券につきましては五十九・六兆円が四十八・四兆円ということでございますので、差額が十一・二兆円。それから、国内株式が二十七・四兆円が三十四・五兆円ということでございますので、差が七・一兆円。それから、外国債券につきましては差が二・五兆円。それから、外国株式につきましては差が七・四兆円。このような計算になるというところでございます。
○宮本(岳)委員 本年三月二十日には、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団の三団体とGPIFが共同で、「積立金の資産の構成の目標(モデルポートフォリオ)」を公表いたしました。被用者年金制度の一元化に向けて、GPIFと同じポートフォリオで運用することを発表いたしました。
ことし十月一日から一元化されれば、この三共済もGPIFと同じポートフォリオで運用されることになる、これは間違いないですね、厚生労働省。
○山崎政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十四年に成立した被用者年金一元化法では、一元化後も積立金の管理運用をGPIF及び共済組合等が引き続き行うこととされております。本年十月一日の被用者年金一元化法の施行後は、GPIF及び共済組合等は積立金基本指針及びモデルポートフォリオを参酌して定められる基本ポートフォリオに基づき運用を行っていくものでございます。
○宮本(岳)委員 同じポートフォリオで運用するといたしますと、平成二十五年度決算で三つの共済の年金運用額は約三十兆円ですよ。これがモデルポートフォリオに収れんするとして試算したのが、お配りした資料の一の右側になります。八・一兆円の国内債券が売却され、株式の購入余力は三・五五兆円、外国債券の購入余力が一・八九兆円、外国株式の購入余力が三・九三兆円生まれることになります。
そうすると、先ほどのGPIFの運用、これは資料一の左側につけておりますけれども、合わせれば、今後まだ約十九・三兆円の国内債券が売却され、約十・七兆円もの国内株式を購入することになります。これだけのリスク資産が株式市場に投入されると予測できれば、それは先ほど紹介した経済誌のように投資の呼び込みの条件にするのは当然で、これこそ官製相場そのものだと言わなければなりません。
一方、国債の金利上昇リスクについて、バーゼル銀行監督委員会でも検討がなされております。報道によれば、金融機関に対し、金利が突然上昇して損失が出ても経営破綻しないように、十分な対策を求める新たな規制を検討していると言われております。これは金融担当大臣に聞きますけれども、どのような目的で、どのような内容が検討されているんですか。
○麻生国務大臣 バーゼルにおきます銀行監督委員会におきまして、国債に限らず、銀行勘定で保有しておりますいわゆる資産、負債、全体の金利リスクの規制の枠組みに関する検討が行われているというところであります。
ただ、これは引き続き国際交渉中の事項ですので、議論の方向性についてコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、この記事にありますように、日本の銀行が資本の積み増しを迫られるような方向で固まっているという話は全くありません。
○宮本(岳)委員 事前レクでもそういう話でありましたけれども、しかし、この報道にあるように、銀行勘定で保有する資産、負債全体を自己資本比率の分母に入れるということも検討の中に入っていることは否定されませんでした。そうなれば、国債や長期固定住宅ローンを多く抱える邦銀は資本の積み増しを迫られることになります。そして、資金にゆとりがない銀行は国債の保有比率を下げるために売却せざるを得なくなるという事態が生まれます。
そこで、資料の二を見ていただきたい。長期国債の残高推移の表であります。
GPIFなどの公的年金がこれまで大量の国債を所有してまいりましたけれども、このたびの運用方針の変更で債券の残高が減少しつつあるわけですね。仮に、報道どおりバーゼルの規制が行われ、国債の金利が上昇し始めた場合に、国内銀行や中小企業金融機関、保険などの大口の所有者のうち、銀行は国内債券の資産を減らさざるを得ないことになります。
その結果、債券市場にあふれる膨大な国債は一体誰が引き受けるのか。私はそれは日銀しかあり得ないと思うんですが、黒田総裁、そうじゃありませんか。
○黒田参考人 日本銀行は、御案内のとおり、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、量的・質的金融緩和を進めております。そのもとで、長期国債について、保有残高が年間約八十兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行っております。
午前中にも申し上げたとおり、この量的・質的金融緩和は、二%の物価安定目標の実現を目指し、それが安定的に持続するようになるまで続けるということでありますので、そういう状況になりましたら、当然のことながら、量的・質的金融緩和といった異次元の金融緩和ではなくて、そのときの経済状況に合った金融政策になっていくということであろうと思っております。
したがいまして、私どもの金融政策は、あくまでも物価安定の目標を実現するために行っている政策ということでございます。
○宮本(岳)委員 八十兆円ずつ国債を積み増していくと、既に三月末で、日銀の国債保有残高は合わせて約二百七十兆円にも及んでおります。これを続けていけば、来年は三百五十兆、その先には四百三十兆と、本当に膨れ上がるばかりなんですね。
GPIFから三共済の積立金まで次々と株式購入の運用資産を拡大して株式市場を買い支えるなど、まさに官製相場だと言わなければなりません。それを支えるのが日銀の緩和マネーだという構図が明らかになりつつあります。このような目的のために国民の財産である年金を市場リスクや為替リスクにさらすなど、とても国民が納得するものではありません。
八日の金融政策決定会合で、木内審議委員が、二%物価目標の早期達成にこだわらない政策運営を提案しました。否決されましたけれども、異次元の量的緩和を修正する案が出るほど、この政策の行き詰まりは明らかです。
また、金利上昇が起こった場合、異次元の金融緩和をやめることができなくなるのは明白であります。金利が上昇すれば、国の一般会計予算の編成も難しくなり、債券市場の混乱も生じます。
このような亡国への道は即刻やめることを求めて、私の質問を終わりたいと思います。
○古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時二分散会